ビリヤード、人気スポーツへの道(ブログ)

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ビリヤード 小説

大学受験に無事合格し、田舎から都会への逃亡に成功をした裕二は、新生活に期待を膨らませていた。親の監視下から離れる事により、それまでの親のロボットのような生活から、本当の自分の人生が始まるような予感がしていた。


辻堂駅に着いた。ちょっと田舎っぽい雰囲気がある。目の前にはゲーセン、パチンコ、喫茶店という感じか。しかし、自分の田舎は更に田舎なので、底辺の田舎から、上級の田舎に遭遇して、割とギャップがあったものだから「おっ、都会だ」と、18の田舎もんは思ったのだった。


大学までは徒歩で行けるようなので、試しに歩いていった。道の方はというと、歩道がない上に、とんでもない交通量なので、ヒヤヒヤしながら大学の正門に到着。

来る途中、レンタルビデオやら中華料理屋だか色々あって明日からが楽しみだ。


まずは、大学近くの不動産屋を訪ねる。不動産屋に行くのは初めてだった。物件をいろいろ見ると思っていたのだけど、丁度良い物件が1発目から見たかったので、不動産屋と一緒に現地に向かった。目的地に続く道にはサーファン専門店や、特殊な形のお洒落な自転車の店、生シラスを食べれる飲食店など多種多様な個人経営の店が連なっていた。


現地に着くと、その建物には「アーバンライフ」という名前が壁にでかでかとペンキで塗られていた。アーバンライフ。いい響きだ。期待できる。


二回部屋のロフト付きの部屋を選んだので、階段を上っていった。すると、階段脇のドアが開き、ラフな格好をした女性が出てきた。こんがり焼けていて、髪はサラサラの茶髪だ。

「こんにちわ」と小さく挨拶をした。彼女はラフな格好のまま、外に出かけていった。いい匂いがした。爽やかな、海の町を感じささせるような、そんなやつだ。


不動産屋に連れられ、部屋に入る。なんと、さっきすれ違った女性は隣部屋のようだ。体温が少し上がった。


部屋はとにかく明るかった。天窓がついていて、真上からの太陽光が入り、ロフトも相当高い位置にあり、ロフトの上も横に2人寝てもそんなに狭くないくらい広い。最高の部屋だ。ここから、新生活が始まる。


入学式。慣れないスーツを着て、母親と一緒に向かう。ここでようやく初めて大学の門をくぐった。鼻息荒い感じだった。大ホールの中に入り、しばらくして式が始まった。覚えているのは「君たちはすごい倍率の受験を勝ち残った優秀な人達です」とか言っていた。社交辞令でも何となく嬉しいものだ、褒められるのは。


それからしばらくして、一人暮らしにも少しづつ慣れてきて、自炊と外食を絡めながら楽しい日々を送っていた。見るもの全てが新鮮で、なんだか毎日ワクワクする。大学入ってから1ヶ月くらい経過した時、なんだか無性に人恋しくなってアルバイトをしたいと思った。なんでもよかったのだけど、なんであそこを選んだのか今でも思い出せないけど、家から徒歩2分くらいの中華屋のキッチンで働く事になった。


中華料理屋のバイトは楽しかった。バイトのみんなも何となく日焼け強めでチャラい感じ。賄いが出たので食費はかからない。何より、そこで働いていた女の子らが皆可愛かった。いい職場だ。ちょっとドキドキ。

バイトの1人が、どうやら同じ大学に通っているようで、大学の話題をしているうちに仲良くなった。長田という小柄だけど筋肉質でガッチリした感じのイケメンだった。


カラオケ行ったり、飲みに行ったり「あ、これが青春ってやつなのか?」と思いながら、毎日を充実させていた。しかし、いい時間は長く続かないものです。バイト始めて3ヶ月後くらいの時、皆でワイワイしてる時に丁度給料日だったのだけど、店長から茶封筒を一人一人手渡して貰った。


貰った後に店長が「中身ちゃんと入ってるか確認しろよ」と言ってきた。「はあ?入ってない事なんかあるのか?」と思いながら封筒をその場で開封した。僕の頭の中の計算だと中身は6万円のはずだった。しかし、中身は3千円だった。ここから、約2ヶ月の店とのバトルが始まった。


今思えば、店長が単純に金を抜いただけって事なのかもしれない。給料日の翌日に店長は蒸発したのだ。仕方ないから店を運営する会社の社長にアポイントを取って直談判する事にした。当時、私は世間知らずだったものだから、直訴すれば金が貰えると思っていた。しなし、こーゆーのは民事裁判になる為、警察も動けないという、ややこしい話だった。


結局、警察がダメだったからハローワークに行って相談をした。担当の人の話だと、自分と同じ境遇で同様の相談が定期的に行われてるとの事だった。結果、無駄な時間だった。この事がキッカケでバイトは勿論辞めた。 


まだビリヤードとは出会っていない。


つづく